こんにちは。名古屋の公認会計士・税理士の池田龍矢です。
昨日は成人式でしたね。私自身もついこないだ成人式を終えたばかりという風に思ってしまいますが、10年以上経過しています。だんだん歳を重ねると一年が短く感じてしまいます。
さて、今回はふるさと納税のワンストップ特例を利用した場合の注意点について書きました。特例使った方は是非ご一読ください。
●ふるさと納税ワンストップ特例とは??
好きな自治体に寄付してその地域の特産品をもらえる制度ですっかり定着したふるさと納税ですが、税金上も大きなメリットがあります。
それは、寄付金額の2,000円を超える部分について所得税や住民税から控除されるというものです(限度額はあります)。実質的に2,000円の負担だよって言われているのはこのためです。
ふるさと納税は原則として、ご自身で確定申告で提出しないと上記の税金のメリットは受けられません。ですが、確定申告が面倒だっていう方向けにワンストップ特例という制度の利用ができます。
このワンストップ特例は、確定申告のいらない給与所得者等で、一年間の寄付先が5自治体まででふるさと納税を行った場合、確定申告を行わなくても税金を一部少なくしてくれる仕組みです。寄付した自治体へ特例申請書を提出しておくことで翌年の住民税を一部少なくしてくれます。
●ワンストップ特例適用の注意点
この制度を適用したときの注意点があります。それは医療費控除などで確定申告する場合です。
医療費控除の詳細な説明は省略しますが、ざっくりと言うと一年間の医療費が10万超えると一部税金が返ってくるイメージです。
この医療費控除を利用するには確定申告が必要です。
ここで、今回ふるさと納税のワンストップ特例を利用している人はどうなるでしょうか?
実は、確定申告をした時点で特例適用は無かったものとされます。
つまり、上記の赤字部分で適用要件に「確定申告がいらない人」とされているため、確定申告する際には、ふるさと納税についても改めて確定申告書に記載する必要があります。
●まとめ
今回はふるさと納税ワンストップ特例の注意点についてお話しました。
ワンストップ特例を利用していても、確定申告する人は、改めてふるさと納税部分も一緒に記載して申告することが必要ですので、ご注意ください。
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こんにちは。公認会計士・税理士の池田龍矢です。
今回も来年度の税制改正内容についてのご紹介です。前回は個人編でしたが、
今回は法人編です。
中小企業の経営者の方にとって特に影響が大きな箇所である所得拡大税制の
見直しについてご紹介します。
●所得拡大税制とは??
簡単に表現すると、従業員の給与を増加させれば一定額を税額から控除すると
いう制度です。法人税は利益に対して一定の割合で税額を計算します。この計算
した税額そのものから控除するので、この制度を利用すれば節税になります。
趣旨は、従業員の給与水準を社会全体で引き上げることで消費の増加⇒経済の
活性化へとつなげるためと考えられます。
●改正内容は??
今回の改正によって適用要件の厳格化と税額控除の上乗せが行われる見込みです。
適用時期は実際に改正法案が可決施行されてからとなりますので、
平成29年4月1日以後に開始する事業年度からと予想されます。
具体的な変更部分については下表にまとめました。前提として中小企業に限定
しています。
上記を見ていただいてもわかる通り、この制度の適用には様々な要件があります。
少し細かいお話になりますが、個別に注意点をまとめてみました。
要件①、②の「給与等支給額」ですが、役員報酬やその親族の給与は含まれません。
給与等ですが、給与計算時に給与所得として取り扱う部分と同義といえます。
したがって、賞与ももちろん範囲に含まれることになります。
要件③の「平均給与等支給額」ですが、雇用保険一般被保険者で65歳未満の方の
うち、その年と前年と両方の年度において在籍している方の給与と賞与を合計し、
その合計額を延べ人数で除した数値となります。この延べ人数ですが、同月に同じ
人へ給与と賞与を支払った場合(例として、12月に給与と賞与をそれぞれ支払った)
には、1人としてカウントします。給与1人、賞与1人の2人とはカウントしませんので、
ご注意ください。
最も効率的な手順は、下記の通りです。
☑その年の給与等支給額を集計する
↓
☑雇用保険一般被保険者の方を抽出する(65歳未満)
↓
☑抽出された方のうち、その年に入社した方や前年以前に入社していたが、その年
より雇用保険一般被保険者となった方を除く
↓
☑絞られた対象者の前年の給与等支給額を集計する
この制度の適用は自己申告ですので、法人税の申告期限後に気づいても後から
適用はできません。
また、税務署からは適用できますよと教えてもらえません。
したがいまして、期末前に適用要件の判定をしておき、期末賞与を出すか否かの
判断の一つとして活用することが重要です。
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こんにちは。公認会計士・税理士の池田龍矢です。
だいぶ朝晩冷え込んできました。私は仕事柄眼精疲労が蓄積されてるので、寝るときに使い捨てのホットアイマスクを使っています。ラベンダーの香りもして熟睡できるのでお勧めです!ちなみにラベンダーの香りは自律神経を整えてくれるので、睡眠に入りやすくなる効果がありますよ。
本題に入りますが、与党による来年度の税制改正内容をまとめた大綱が発表されました。
今回と次回と二回に分けて皆さんに知ってほしい改正部分をご紹介したいと思います。
今回は配偶者控除の見直しについてです。
●配偶者控除って??
皆さんは103万円の壁という言葉をテレビや新聞、インターネットなどで耳にしたことがあるかと思います。
これは年収が103万円以下だと本人の税金が発生しないという側面と、配偶者の年収が103万円以下だと世帯主の所得から38万円控除されるという限度を表現したものです。この世帯主の所得から38万円控除する制度を配偶者控除といいます。
今回の税制大綱でこの配偶者控除の年収基準を150万円に引き上げすることが明記されました。引き上げの趣旨としては、配偶者の就労を増やして労働力確保といった側面と、世帯での収入を上げて消費につなげるといったところかなと思います。
●今回の配偶者控除見直しの問題点
私見ですが、この改正内容だとまだまだ配偶者の就労が増える方向には行きにくいかなと感じます。
理由は主に社会保険料の問題です。
税金面で103万円の壁が存在するのと同じように社会保険料にも130万円の壁が存在します(従業員が一定人数の大規模会社では平成28年10月から106万円の壁)。
これは年収で130万円を超えると社会保険の扶養から外れ、自分で社会保険料を支払わないといけなくなり、結果として手取収入が減る現象を表現したものです。したがって、今回の改正を経ても年収を130万円にまで抑えるというところで落ち着いてしまうことになります。
税と社会保険は国民が負担するもので切っても切り離せないものであるが故に、一体として制度改正を行ってほしいと思いますね。そして、夫婦ともにフルタイムで働く世帯については特に変更がないので、こういった世帯が増えるような仕組みも考えていかなければいけないと思います。
次回は、税制改正大綱の法人編の紹介していきたいと思います。
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