名古屋の公認会計士・池田詩織です。
2017年1月1日の日経新聞の1面(今頃元日の記事ですみません)、
「当たり前」もうない
という大きな見出しが目を引きました。
当たり前と考えていた常識が崩れ去る。速まる一方の技術の進歩やグローバリゼーションの奔流が、過去の経験則を猛スピードで書き換えているからだ。昨日までの延長線上にない「断絶(Disruption)」の時代が私たちに迫っている。
断絶を示す「Disruption」という英単語の由来は、粉々に砕くことを意味するラテン語にある。
盤石に思えた事業やサービスが突然、陳腐になる。デジタルカメラの登場で消えた写真フィルム、ネット通販に押される街の本屋さん・・・・・・。今までもあった断絶は、これから身の回りのあちこちで起きるようになる。
AIなどの「第4次産業革命」が迫り、人口減の衝撃も様々な局面で断絶を生む。私たちはそんな時代に生きている。
(日本経済新聞2017年1月1日より)
まさに会計業界にもそんな「断絶」が起こっているのではないでしょうか?
少なくとも、会計ソフトに関しては、まさに「断絶」したと思います。
従来は、
簿記や会計の知識がないと入力業務は難しい。
忙しい社長さん自らひとつひとつの仕訳を入力する時間がない。
かといって経理を任せる人材もいない。
だから記帳代行というめんどくさい業務は、会計事務所に任せてください!
という考えがあったと思います。
しかし、クラウド会計freeeのようなツールが登場したことによって、
今まで記帳代行を引き受けていた会計事務所の事情が大きく変化したと思います。
簿記なんて小難しいことを知らなくても帳簿が簡単につけられる。
銀行口座やクレジットカードの明細を会計ソフトに連動すれば、
通帳やカード明細を見ながらいちいち全てを手入力しなくていい。
ということは、会計事務所にお願いしなくても自分で入力してみよう
と思う会社が増えるかもしれません。
また、記帳代行を引き受ける会計事務所側の業務量自体が減るため、
会計事務所で入力作業だけしていた人は仕事がなくなる??
という懸念もあるでしょう。
その事実を突きつけられても、今までの記帳代行業務で潤っていた会計事務所は、新参のクラウド会計ソフトを拒絶する。
顧客にとっての利便性ではなく、自分達にとっての慣れたやり方を優先するために、革新的なツールを使おうとしない。
・・・・・・
自分たちの仕事のあり方を、いろいろ考えさせられますね。
クラウド会計ソフトを使うことによって、会計データの入力作業にかかる手間や時間がぐんと減ることは間違いありません。それに伴って会計事務所内の業務も変わるでしょう。
それでもこの先、記帳代行サービスへのニーズが全くなくなるとも考えにくい。
お客様にとっていちばんいいサービスはどのような形なのか、
こちらの事情優先の「会計事務所ファースト」ではなく、
お客様にとって何が最適か、どうすれば成長につながるのか
「顧問先ファースト」の視点を常に持っていたいです。
そして、「税理士業界はなかなか従来の慣習から抜け出せない業界」
と嘆き諦めるのではなく、
「本当にこのやり方しかないのか?」
「本当にこれが最善の解なのか?」
と常に自分の常識を疑ってかかるスタンスでいたいなとも思います。
そうでないと、気付いたときには自分も古い慣習にどっぷり浸かって
「常識的に考えると」とか言っちゃって古いやり方を押し付けていたりして。
恐ろしい。。。
この「断絶の時代」に直面していることを「ラッキー!!」ととらえ、
自分たちらしいやり方で、さらなる付加価値を提供できるように
挑戦していきたいです!
単純に、新しいイノベーションやアイディアに出会うのは、わくわくしますしね。
最後に、同じく元日の日経新聞1面より、力強い言葉をどうぞ。
断絶の時代を拒むか。成長に生かすか。選択肢は私たちが握っている。
古い秩序や前例を壊す断絶の力。湧き出すエネルギーを味方にして進もう。そのときは今だ。
(日本経済新聞2017年1月1日より)
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