こんにちは。公認会計士・税理士の池田龍矢です。
今回も来年度の税制改正内容についてのご紹介です。前回は個人編でしたが、
今回は法人編です。
中小企業の経営者の方にとって特に影響が大きな箇所である所得拡大税制の
見直しについてご紹介します。
●所得拡大税制とは??
簡単に表現すると、従業員の給与を増加させれば一定額を税額から控除すると
いう制度です。法人税は利益に対して一定の割合で税額を計算します。この計算
した税額そのものから控除するので、この制度を利用すれば節税になります。
趣旨は、従業員の給与水準を社会全体で引き上げることで消費の増加⇒経済の
活性化へとつなげるためと考えられます。
●改正内容は??
今回の改正によって適用要件の厳格化と税額控除の上乗せが行われる見込みです。
適用時期は実際に改正法案が可決施行されてからとなりますので、
平成29年4月1日以後に開始する事業年度からと予想されます。
具体的な変更部分については下表にまとめました。前提として中小企業に限定
しています。
上記を見ていただいてもわかる通り、この制度の適用には様々な要件があります。
少し細かいお話になりますが、個別に注意点をまとめてみました。
要件①、②の「給与等支給額」ですが、役員報酬やその親族の給与は含まれません。
給与等ですが、給与計算時に給与所得として取り扱う部分と同義といえます。
したがって、賞与ももちろん範囲に含まれることになります。
要件③の「平均給与等支給額」ですが、雇用保険一般被保険者で65歳未満の方の
うち、その年と前年と両方の年度において在籍している方の給与と賞与を合計し、
その合計額を延べ人数で除した数値となります。この延べ人数ですが、同月に同じ
人へ給与と賞与を支払った場合(例として、12月に給与と賞与をそれぞれ支払った)
には、1人としてカウントします。給与1人、賞与1人の2人とはカウントしませんので、
ご注意ください。
最も効率的な手順は、下記の通りです。
☑その年の給与等支給額を集計する
↓
☑雇用保険一般被保険者の方を抽出する(65歳未満)
↓
☑抽出された方のうち、その年に入社した方や前年以前に入社していたが、その年
より雇用保険一般被保険者となった方を除く
↓
☑絞られた対象者の前年の給与等支給額を集計する
この制度の適用は自己申告ですので、法人税の申告期限後に気づいても後から
適用はできません。
また、税務署からは適用できますよと教えてもらえません。
したがいまして、期末前に適用要件の判定をしておき、期末賞与を出すか否かの
判断の一つとして活用することが重要です。
この記事がお役に立った場合は、ぜひシェアしていただけるとうれしいです。
お金の流れ、マネジメントできていますか?
Flow & Focus Consultingは、あなたのビジネスの成長・発展を会計参謀として支えます。